はじめに
一級建築士試験の学科(構造)で、不静定次数の判別式「m=n+s+r-2k」という式が出てきます。判別式を計算すると、構造物が、安定、静定、不静定、不安定、のどれに該当するかを判別できるらしいけど…そもそも、安定?静定?って何?…と疑問を抱きつつ丸暗記した記憶があります。ここでは、何のための式なのかを少しだけ書きたいと思います。
例題
まずは、判別式と簡単な例題を一つ解いて、どんな物かをおさらい。
【判別式】
m=(n+s+r)-2×k =0:安定、静定
m=(n+s+r)-2×k >0:安定、不静定
m=(n+s+r)-2×k <0:不安定
n:反力数 s:部材数 r:剛接合部材数 k:接点数
【例題】
上の例題の架構は、m=1で一次不静定となっています。
r(剛接合部材数)が分かり難い…。剛接合部材に何個部材が接合されているかで、C点周りで、BC部材に接合している部材はCD部材の1つなので、r=1。
判別式とは?
例題を解いてみましたが、実務で判別式を使った事は無いし、一貫計算でたまぁに「不安定です」とエラーメッセージが出て背筋が凍るくらいで、判別式は、ほぼ建築士試験のための式のような気もします…
実際、判別式に何の意味があるか、、、
ざっくり言うと、、、
「部材が何ヶ所壊れたら、構造物が壊れるか」の判別式
例えば、上の例題のような「m=1」の構造物の場合、部材が2ヶ所壊れると『不安定』となり、構造物に少しでも外力が加わると壊れるということなんです。
例題でA,C点の2ヶ所が壊れヒンジ(ピン接合)が出来たとすると、以下のように不安定となってしまいます。
判別式の判定を見ると、「m=0」の安定、静定が一番良さそうに思えますが、「m=20」とか「m=30」の不静定構造物の方が優秀なんです。(実際は、多ければ多い方がいいわけではありませんが…)
昔上司が首都高を見ながら「土木建造物って、不静定次数が低いから見ていて怖いよね」と言っていて、おぉ!!そぉいうことかと気付いた記憶があります。
普段我々が設計する建築物は、不静定次数が高く、片持ち部材等の2次部材を除いて、建築物の架構は「不安定」や「静定」となることはありません。
安定、静定、不静定の印象としては、以下みたいな感じですかね。