主要構造部とは?

建築基準法の中で、「主要構造部」という用語が出てきます。これと、「構造耐力上主要な部分」が混同しませんか…。
私も最近まで混同していました…。

この二つ、実は全く違う目的を持った用語のようです。

まずは、建築基準法で、それぞれの用語の定義を確認。

建築基準法 第2条(用語の定義) 五号 主要構造部

壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

建築基準法施行令 第1条(用語の定義) 三号 構造耐力上主要な部分

基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。

比較すると、単に「構造耐力上主要な部分」=「主要構造部」+「基礎や杭」というだけで、言い方を少し変えただけだと思えます。

が、、、この二つが法的に持つ意味は全然違うんです。

ざっくり言うと

「主要構造部」→火災に対して壊れてはいけない部分

「構造耐力上主要な部分」→地震等に対して壊れてはいけない部分

例えば、鉄骨造の外壁をALCとした場合、ALCは地震力を負担しないので構造耐力上は全く役に立ちません が、外壁が壊れて延焼を防ぐために ALC外壁は「主要構造部」なんです。

最下層の床は、火災の時に壊れても延焼しないし人はまぁ逃げられます。 小梁や庇が火災で壊れても建物全体は壊れない。 なのでこれらは「主要構造部」ではないんです。

耐火建築物は「主要構造部」を耐火構造とするのですが、「主要構造部」=「構造耐力上主要な部分」だと杭が、、、。鋼管杭がこの世から無くなってしまいます。 杭とか基礎は火災による被害をほぼ受けないので「主要構造部」ではないんです。

「主要構造部」の法文中に『構造耐力上重要ではない』とあるから、構造耐力上重要な部分は全部「主要構造部」のような印象になってしまってるような気がします。

「主要構造部」を「主要建物部位」とかに改名した方が分かり易い気が個人的にはしています。「構造」って言葉が入っているから混同し易いのではないかと。

「主要構造部」は火事、「構造耐力上主要な部分」は地震に対して安全にしましょうと法律で定めているんですね。

予断ですが、建築基準法では「杭」は「くい」、「梁」は「はり」と表記するんですね。細かい人だと直されます。漢字の方が見やすいのに。

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